どうもトミーです
と思われていた時代があったようです(遠い目)
しかし控えめに言っても床ずれに対して円座を使用するメリットが思いつきません。
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円座で褥瘡(床ずれ)が改善する?逆です!悪化します!
円座はその形状から、
「穴が開いたところが床と接触しないから床ずれの予防、悪化の防止になるだろう」
と思われがちです。
そして以前は、座面の褥瘡に対して効果的だとされ頻繁に使用されてきました。
しかし、褥瘡に対する研究が進むにつれ発生要因や治療法が確立される中、円座は褥瘡に対して実際は予防どころか悪化させてしまうリスクさえあるということが分かってきました。
なぜ円座が褥瘡(床ずれ)を悪化させるのか?
なぜ、円座が褥瘡(床ずれ)を悪化させるのか?
それは次の二つの要因によるものです。
・圧の集中
・皮膚にかかる張力が増える。
この二つを簡単に説明しましょう!
圧の集中
円座に座ると、ドーナツ型の穴になっているところには確かに圧がかかりません。
しかし外周の円の部分にはフラットな面に座る場合より大きい圧がかかってしまいます。
床ずれ治療の基本は圧の分散、床との接触面積を増やすことです。
次の実験で圧の集中を身をもって体感してみてください。
実験!!
腕立て伏せの肢位になり両手で体重を支えます。
A.手をパーにして全体で支える
B.5本(10本)の指で支える
C.親指だけで支える
どれが一番しんどいでしょう??
答えはC.親指で支える!でしょうね・・・
次にしんどいのはB.指。
その次はA.パーでしょう
つまり、同じ体重を支えるのならなるべく広い面で支えた方が1か所にかかる圧が分散されるということです。
圧が集中するとその部分の血流が著しく阻害され褥瘡発生のリスクが高まります。
皮膚にかかる張力が増える
円座はご存知のとおり真ん中が穴がありているので体重は外周の円の部分にかかります。
しかも、臀部全体で体重を支えるより大きな力(重さ)が外周の円の部分にかかるわけです。
そうすると、おしりは円の中に落ちようとする力がかかるので、円座の内側の部分の皮膚が引っ張られます。
この引っ張る力(張力)が厄介者なんです!
褥瘡が発生する要因はたくさんありますが、大きくは次の通りです。
出典:イラストAC 褥瘡深度の図
外力
病的骨突出
関節拘縮
栄養状態
皮膚状態 etc.
そして、一番最初にあげた外力は圧迫とズレ応力に分けられ、
円座を使用することによってこのズレ応力を高めてしまうのです。
褥瘡(床ずれ)に対して効果的なクッションとは?
円座がよろしくないということはなんとなくご理解いただけましたでしょうか?
では、お尻の褥瘡(床ずれ)に対してはどのようなクッションが良いのでしょうか?
あえて今回はクッションだけのことを述べていますが、前述のずれ応力を少なくするためには座位姿勢や車椅子のフィッティングなど色々な対策を同時に行うべきです。
その辺りは、またの機会に説明します(すると思います。するんじゃないかな・・・)
では話を戻して、どのようなクッションが良いか?
それはお尻全体がしっかりフィットするクッションです。
一例ですがこのようなクッション
このようなゲル素材を用いたクッションであれば、個々のお尻の大きさや形に合わせて柔軟に変形し、お尻全体で体重を支えることができます。
この方が体重をより広い面で分散して支えることができ、褥瘡の予防、改善に効果的であるとされています。
まとめ 本来は座面だけの問題ではないが・・・
今回はあくまでも円座のデメリットに焦点を絞りました。
円座にもメリットはあります・・・痔とか。
しかし、褥瘡(床ずれ)の要因は座面だけではありません。
座位で発生する褥瘡に関してだと、上半身の姿勢や下肢のポジションなども検討し、背中や大腿部、足底も含めた体圧の分散を考慮しなければなりません。
車椅子についてはこの辺の記事も参考にしてみてください。
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さすがにこれは個々の身体的特徴に合わせて考慮する必要がありますので、理学療法士をはじめとした専門職にアドバイスをしていただくことがベストです。
ってことで、褥瘡ができてからではなく、予防という観点からも円座は止めておきましょう!